塩塚古墳
しおづかこふん(Shiozuka-Kofun Tumulus)
【K-NR076】探訪日:2018/10.3
奈良県奈良市歌姫町
【MAP】
〔駐車場所〕
佐紀盾列古墳群を構成する古墳の1つで、位置的に見て西群に属しているが、西群の佐紀陵山古墳や佐紀石塚山古墳などとは南北を貫く谷を隔てた東側に所在している。付近には本古墳を始め衛門戸丸塚古墳,オセ山古墳,佐紀瓢箪山古墳,猫塚古墳など佐紀盾列古墳群では中規模クラスの古墳が多く所在する。築造時期は5世紀前半から中頃と推定される。後円部を北とし、墳丘規模は全長105m,前方部幅55m,前方部高1.5m,後円部径70m,後円部高9mの前方後円墳である。前方部は後円部と較べ異常に低く平坦であり、奈良時代の瓦が出土していることから、後世に削平されて建物が建てられていた可能性がある。奈良時代、この付近には平城宮に属する苑池の松林苑があり、当古墳もその敷地に取り込まれていたと考えられる。周濠は前方部にはなく、後円部を中心に馬蹄形に存在し水をたたえていた様子はない。
1956(昭和31)年、後円部での発掘調査が行われ、主軸を南北に向けた粘土槨が検出されている。粘土槨中央部は盗掘により遺存しなかったが、その両端部が残されており、全長6.80m,幅は北部で1.45m,南部で1.30mであることが確認された。粘土槨内には木棺の痕跡が残されており、その大きさは全長6.35m,北部の幅63cm,南部で幅65cmであった。遺物は盗掘により原位置を留めないが鉄剣2,鉄刀子(残欠)1,蕨手刀子4,鉄斧15,鉄鎌9が出土している。この粘土槨は後円部の中心よりやや東よりで検出されているため、他にもう1つ埋葬施設が並列していた可能性も指摘されている。