西大久手古墳〔志段味古墳群〕
にしおおくてこふん〔しだみこふんぐん〕(Nishiokute-Kofun Tumulus [Shidami-Kofun Tumulus Group])
【K-AC090】探訪日:2020/1.30・2023/4.10
愛知県名古屋市守山区上志段味大久手下
【MAP】
〔駐車場所〕「体感!しだみ古墳群ミュージアム」の駐車場が利用できる。
志段味古墳群の大久手古墳群を構成する、群内で最初の帆立貝式前方後円墳である。大久手2号墳と呼ばれる場合もある。墳丘長は約39m、周濠部分を含めると全長約59m、後円部直径は約27mと推定される。年月を経る間に墳丘の削平化が進み、前方部,後円部とも高さについては数値が算出されていない。また、発掘調査から、前方部の傾斜角が下部で約12度、上部で約40度と変化している構造が確認され、同様の構造は近接する志段味大塚古墳でも確認されており、志段味大塚古墳との関連性が高い可能性が指摘されている。周濠は一重で逆台形の断面を持ち、現在の残存高から約1.1mの深さと推定される。外堤の上部に幅60cm程度の平坦面があったと見られているが、後円部側では外堤も掘平されている。南側には造り出しも発見され、辺りからは高坏形器台の破片や円筒埴輪以外の埴輪の破片など、墳丘上に祭祀に使われたと思われる遺物が出土している。後円部の周壕部分より有頸有茎鏃の一種で短頸平根系柳葉式鉄鏃が見つかっている。
また、2008(平成20)年の発掘調査では、東海地方以東では最古級(5世紀中頃)とされる巫女形埴輪が出土した。同時期の人物埴輪は近畿地方の天皇陵などで見つかっていることから、この地方の勢力がヤマト王権と深い繋がりを持っていたことが指摘されている。古墳時代中期後半の5世紀中頃の築造と考えられている。