志段味大塚古墳〔志段味古墳群〕
しだみおおつかこふん〔しだみこふんぐん〕(Shidami Otsuka-Kofun Tumulus [Shidami-Kofun Tumulus Group])
【K-AC093】探訪日:2020/1.30・2023/4.10
愛知県名古屋市守山区上志段味大塚1238
【MAP】
〔駐車場所〕「体感!しだみ古墳群ミュージアム」の駐車場が利用できる。
志段味古墳群の大塚古墳群を構成する古墳の1つで、群内で最大規模の前方部が短い帆立貝型前方後円墳である。大塚1号墳とも呼称される。墳丘は全長約55m(周濠部分を含めると全長約62m)、後円部直径が約40m(主軸方向に1mほど長い楕円形)、墳高は後円部で約7m、前方部で約1.5mと推定される。主軸を北東方向に向けている。墳丘には円筒埴輪が置かれ、墳裾部に河原石の葺石を巡らしていた。また、後円部にはテラス面が確認されているほか、後円部から見た右側くびれ部に造出が付設されており(ただし大部分は削除)、その上部に埴輪列の一部が残存している。前方部の傾斜角と葺石の施工が変化している構造を持っており、周濠側では約10度と緩やかで拳大の円礫を敷き詰めるように葺いているが、墳丘側では約40度の傾斜を持つ部分もある。同様の構造は、西大久手古墳のみとされる。周濠は一重で馬蹄形に墳丘を囲んでいると推定され、緩やかな逆台形もしくはV字形の断面を持つ。
主体部(埋葬施設)については1923(大正12)年の調査で後円部墳頂部から粘土槨が発見され、内部から多くの副葬品が出土したが、2008(平成20)年の発掘調査では、北東から南西方向に主軸を向けたもう1つの主体部の残存が確認された。新規主体部の規模は墓壙が長さ5.8m,幅3mで、前方部側に幅0.9メートルの通路状遺構(長さ不明)があった。木棺そのものは確認できなかったが土層から赤色顔料が見つかっており、内面に朱を塗った長さ3.6~3.9m,幅約1mの刳抜式木棺が直接埋葬されていた(木棺直葬墓)とも推定されている。両者の埋葬された関係などは不明である。
出土品には、五鈴鏡,金銅製帯金具,挂甲小札,刀剣類や水鳥形埴輪,鶏形埴輪,朝顔形埴輪,円筒埴輪などの埴輪片、無蓋高坏,有蓋高坏がある。築造時期は古墳時代中期末の5世紀後半と推定されている。