創世の神々:別天津神

A001:天之御中主尊  天之御中主尊 ― 伊弉諾尊 A002:伊弉諾尊

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伊弉諾尊 月読命 大山祁神

 天地開闢において神世七代の最後に伊邪那美命とともに生まれた。そして高天原の神々に命ぜられ、海に漂っていた脂のような国土を固めるべく、天の浮き橋から天沼矛で海をかき回し、出来上がった淤能碁呂島にて伊邪那美命と結婚した。国産み・神産みにおいて伊邪那美命との間に日本国土を形づくる多数の子を儲ける。その中には淡路島をはじめ大八洲(本州・四国・九州等)の島々、石・木・海(大綿津見神)・水・風・山(大山津見神)・野・火など森羅万象の神が含まれる。
 伊邪那美命が、火の神である火之迦具土神を産んだために陰部に火傷を負って亡くなると、伊邪那岐命は、伊邪那美命に逢いたい気持ちを捨てきれず、黄泉国に行く。そこで「わたしが黄泉津神たちと話し合う間、決して覗いてはいけない」という伊邪那美命との約束を破って覗くと、腐敗して蛆にたかられ、八雷神に囲まれた最愛の妻の姿であった。その姿を恐れて伊邪那岐命は地上へ向かって逃げ出してしまう。いくつかの難を振り切り、最後に伊邪那美命が追って来たが、伊邪那岐命は黄泉国と地上との境である黄泉比良坂の地上側出口を千引きの岩とされる大岩で塞ぎ、伊邪那美命と完全に離縁した。岩の向こうから伊邪那美命が「お前の国の人間を1日1000人殺してやる」と言うと、伊邪那岐命は「それならば私は産屋を建て、1日1500の子を産ませよう」と言い返した。
 その後、伊邪那岐命が黄泉国の穢れを落とすために禊を行なうと様々な神が生まれた。最後に、左眼から天照大御神、右眼から月読命、鼻から建速須佐之男命の三貴子が生まれた。伊邪那岐命は三貴子にそれぞれ高天原・夜・海原の統治を委任した。
 しかし、須佐之男命が母親のいる「妣国根之堅州国」へ行きたいと言って泣き止まないため須佐之男命を追放し、自身は淡道の多賀の幽宮に篭った。

 記紀において、ツクヨミは伊邪那岐命によって生み出されたとされる。月を神格化した、夜を統べる神であると考えられているが異説もある。その神格については文献によって相違がある。古事記では伊邪那岐命が黄泉国から逃げ帰って禊ぎをした時に右目から生まれたとされ、もう片方の目から生まれた天照大御神、鼻から生まれた須佐之男命とともに重大な三神(三柱の貴子)を成す。一方、日本書紀ではイザナギとイザナミの間に生まれたという話、右手に持った白銅鏡から成り出でたとする話もある。また、彼らの支配領域も天や海など一定しない。この、太陽、月とその弟ないし妹という組み合わせは比較神話学の分野では、他国の神話にも見られると指摘されている。
 日本神話において、ツクヨミは古事記・日本書紀の神話にはあまり登場せず、全般的に活躍に乏しい。これはアマテラスとスサノオという対照的な性格を持った神の間に静かなる存在を置くことでバランスをとっているとする説がある。同様の構造は、高皇産霊尊と神皇産霊神に対する天之御中主神、火遠理命(山幸彦)と火照命(海幸彦)に対する火須勢理命などにも見られる。

 『古事記』では、神産みにおいて伊弉諾尊と伊弉冉尊との間に生まれた。また、『日本書紀』では、イザナギが軻遇突智を斬った際に生まれたとしている。
  オオヤマツミ自身についての記述はあまりなく、オオヤマツミの子と名乗る神が何度か登場する。八岐大蛇退治において、素戔嗚尊の妻となる奇稲田姫の父母、足名椎命・手名椎命はオオヤマツミの子と名乗っている。
  天孫降臨の後、瓊瓊杵尊はオオヤマツミの娘である木花之開耶姫と出逢い、オオヤマツミはコノハナノサクヤビメとその姉の磐長姫を差し出した。ニニギが容姿が醜いイワナガヒメだけを送り返すと、オオヤマツミはそれを怒り、「イワナガヒメを添えたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろう」と告げた。
  一般に、山の神と云えば女神だが、大山祇神は古事記・日本書紀ともに男神である。ただし、日本書紀では女神と読める箇所がある。山の神であるオオヤマツミは林業や鉱山関係者に崇拝され、山から下りてきて恵みをもたらすともされることから里山農業では田の神ともされる。

足名椎命 櫛名田比売 石長比売

 二神はオオヤマツミの子で、出雲国の肥の川の上流に住んでいた。8人の娘(八稚女)がいたが、毎年ヤマタノオロチがやって来て娘を食べてしまい、スサノオが二神の元にやって来た時には、最後に残った末娘のクシナダヒメを食いにオロチがやって来る前だった。二神はスサノオがオロチを退治する代わりにクシナダヒメを妻として差し上げることを了承し、オロチ退治の準備を行った。このとき、スサノオによって娘のクシナダヒメは櫛に変えられた。
  スサノオが無事オロチを退治し須賀の地に宮殿を建てると、スサノオはアシナヅチを呼び、宮の首長に任じて稲田宮主須賀之八耳神(『日本書紀』では稲田宮主神)の名を与えた。

 ヤマタノオロチという怪物に食われている寸前にスサノオと出会い、スサノオは、クシナダヒメとの結婚を条件にヤマタノオロチの退治を申出た。 スサノオとの結婚が決まると、クシナダヒメはすぐにスサノオの神通力によって小さな櫛に変えられた。櫛はスサノオの髪に挿しこまれ、見事十束剣によってヤマタノオロチを退治する。ヤマタノオロチを退治した後、スサノオはクシナダヒメと共に住む場所を探して、須賀の地に宮殿を建てた。
  クシナダヒメがその後どうなったのかは原文では明記されておらず、櫛に変えられてから元の姿に戻ったという描写もない。しかし、せっかく命を救われたのに無生物である櫛のままだったとは考えにくく、スサノオがクシナダヒメと共に住む宮殿を建てていること、その直後に「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を」と詠んでいること等から、ヤマタノオロチが退治された後で元の美しい娘の姿に戻してもらい、約束通りスサノオの妻になったとする解釈が一般的である。
  父母がそれぞれ手摩霊・足摩霊と「手足を撫でる」意味を持つ事から「撫でるように大事に育てられた姫」との解釈もあり、倭撫子の語源とされる。

 木花之佐久夜毘売とともに天孫邇邇芸命の元に嫁ぐが、石長比売は醜かったことから父の元に送り返された。大山津見神はそれを怒り、石長比売を差し上げたのは天孫が岩のように永遠のものとなるように、木花之佐久夜毘売を差し上げたのは天孫が花のように繁栄するようにと誓約を立てたからであることを教え、石長比売を送り返したことで天孫の寿命が短くなるだろうと告げた。
 『日本書紀』には、妊娠した木花開耶姫を磐長姫が呪ったとも記され、それが人の短命の起源であるとしている。
 また『古事記』において大山津見神の娘で、須佐之男命の子の八島士奴美神と結婚する。木花知流比売は石長比売の別名であるとする説もある。石長比売は岩の永遠性を表すものとされる。名義は「岩のように長久に変わることのない女性」と考えられる。

木花之佐久夜毘売

火之夜藝速男神

建御雷之男神

 神話では、邇邇芸命と、笠沙の岬で出逢い求婚される。父の大山津見神はそれを喜んで、姉の石長比売と共に差し出したが、邇邇芸命は醜い石長比売を送り返し、美しい木花之佐久夜毘売とだけ結婚した。大山津見神はこれを怒り「私が娘二人を一緒に差し上げたのは石長比売を妻にすれば天津神の御子(邇邇芸命)の命は岩のように永遠のものとなり、木花之佐久夜毘売を妻にすれば木の花が咲くように繁栄するだろうと誓約を立てたからである。木花之佐久夜毘売だけと結婚すれば、天津神の御子の命は木の花のようにはかなくなるだろう」と告げた。それでその子孫の天皇の寿命も神々ほどは長くないのである。
 木花之佐久夜毘売は一夜で身篭るが、邇邇芸命は国津神の子ではないかと疑った。疑いを晴らすため、誓約をして産屋に入り、「天津神である邇邇芸命の本当の子なら何があっても無事に産めるはず」と、産屋に火を放ってその中で火照命(もしくは火明命)・火須勢理命・火遠理命の三柱の子を産んだ。火遠理命の孫が初代天皇の神武天皇である。

火の神であったために、出産時にイザナミの陰部に火傷ができ、これがもとでイザナミは死んでしまう。その後、怒ったイザナギに十拳剣「天之尾羽張」で殺された。

鹿島神宮の主神として祀られていることから鹿島神とも呼ばれる。
雷神、かつ剣の神とされる。建御名方神と並んで相撲の元祖ともされる神である。また鯰絵では、要石に住まう日本に地震を引き起こす大鯰を御するはずの存在として多くの例で描かれている。
 神産みにおいて伊邪那岐命(伊弉諾尊)が火神火之夜芸速男神の首を切り落とした際、十束剣「天之尾羽張」の根元についた血が岩に飛び散って生まれた三神の一柱である。剣のまたの名は伊都尾羽張という。
 「出雲の国譲り」の段においては伊都之尾羽張の子と記述されるが、伊都之尾羽張は天之尾羽張の別名である。天照大御神は、建御雷神かその父伊都之尾羽張を下界の平定に派遣したいと所望したが、建御雷神が天鳥船とともに降臨する運びとなる。出雲の伊耶佐小浜に降り立った建御雷神は、十掬の剣を波の上に逆さに突き立てて、その切っ先の上に胡坐をかいて、大国主神に対して国譲りの談判をおこなった。大国主神は、国を天津神に譲るか否かを子らに託した。子のひとり事代主神は、すんなり服従した。もう一人、建御名方神は、建御雷神に力比べをもちかけるも、手づかみの試合で手をつららや剣に変身させ、怯んだ建御名方神はその隙に一捻りにされたため、恐懼して遁走し、科野国の洲羽の湖で降伏した。これによって国譲りがなった。このときの建御名方神との戦いは相撲の起源とされている。

 

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