小幡長塚古墳
おばたながつかこふん (Obata Nagatsuka-Kofun Tumulus)
【K-AC121】探訪日:2020/7/16
愛知県名古屋市守山区小幡4丁目12-46
【MAP】
〔駐車場所〕
小幡ヶ原周辺に点在する古墳の一つで6世紀前半に築造されたと考えられる前方後円墳。主軸は北西30.5°で、墳丘長約81m,前方部の幅約42m(推定),高さ5.5m、後円部径約38m(推定),高さ6.5mと、前方部が大きく後円部が高い古墳である。ただ、墳丘規模の数値も必ずしも確定した数値ではない(近年の調査では墳丘長約74m,前方部幅約48m,後円部径約42m)。1936(昭和11)年の愛知県の測量記録によれば墳丘は盾型の二重周濠に囲まれていたことが分かる。2006(平成18)年の調査では北側の外堤に方形張出部が存在した可能性が指摘されている。さらに、名古屋第二環状線建設に伴う2008(平成20)年度の調査では前方部北側の中堤の角が検出され、先の発掘調査の結果と重ね合わせると、前方部外濠の幅は18〜19mに及び、周濠を含めた古墳の全長は135〜140mm,外濠前面幅約125mと推定されている。
墳丘の発掘調査は行なわれておらず内部主体は不明であるが、須恵器(高坏・甕),円筒埴輪,朝顔型埴輪,人物埴輪(腕・手の破片),家型埴輪,動物埴輪(水鳥など)がくびれ部に近い外濠の中堤近辺から多数が出土している。人物埴輪の出土は名古屋市内の古墳では初。
なお、周辺は明治時代後半から陸軍の小幡ヶ原射撃場として使用され、墳丘には演習の際に掘られた塹壕の痕跡が現在も残る。三八式歩兵銃のものとみられる弾丸なども出土しており、出土品は名古屋市見晴台考古資料館(見晴台遺跡)に収蔵されている。