築造年は定かではないが、長束正家の屋敷跡とされる。実際の屋敷跡は北へ550mほどの所といわれる。現在は住宅地となっている。
　長束正家の出身地には尾張国説と近江国説がある。近江国説では、父･水口盛里の代に居城の水口城が落城したため長束村に在し、その地名を取って正家以降に長束姓を称したという。正家は1562(永禄5)年に生まれ、初め丹羽長秀に仕えたが、1585(天正13)年に豊臣秀吉の奉公衆に抜擢され、高い算術能力を買われて財政を一手に担った。1595(文禄4)年には近江水口城5万石を拝領し、五奉行の末席に名を連ねるようになる。
　1600(慶長5)年の関ヶ原の戦いでは西軍に与し、南宮山に布陣したが吉川広家による妨害のため本戦に参加できず、西軍が壊滅すると水口城へと撤退帰城した。しかし、寄せ手の亀井茲矩,池田長吉に本領安堵を約束されたが、城から出たところを欺かれ捕縛され切腹して果てた。享年39という。