中之郷古墳
なかのごうこふん (Nakanogo-Kofun Tumulus)
【K-AC182】探訪日:2021/5/14
愛知県西尾市西幡豆町中野郷15
【MAP】
〔駐車場所〕
東海地方で最も早く北部九州系の横穴式石室を採用した古墳のひとつである。築造は古墳時代中期後葉(5世紀後半)と考えられ、現在は墳丘が削られているが、本来は墳長約35mの帆立貝形古墳あるいは直径約42mの円墳とされる。周溝部分に石見型埴輪と呼ばれる珍しい形象埴輪を並べるなどしていることから、被葬者は海上交通を掌握し近畿の大王や九州の勢力とも交流をもった沿岸地域の首長級の人物と推定される。
石室内部には石積みがみられ、規模は長さ4.65m,幅1.9m,高さ1.5~1.7mで人骨のほかに銅鏡や刀剣,鉄鏃,馬具などが出土した。
伝承によれば、明暦年間(1655~58年)に発掘開口されたとき、中から観音像が見つかり、村人は観音堂が建て安置したことから「穴観音(古墳)」と呼ばれるようになったという。
この地区にはこのほか古墳時代中期初めに築かれた正法寺古墳(墳長94mの前方後円墳)、岩場古墳(墳長30mの帆立貝形古墳)がある。