黄金堤
こがねづつみ (Koganezutsumi)
【Z-AC027】探訪日:2020/11/17
愛知県西尾市吉良町岡山鎧
【MAP】
〔駐車場所〕 駐車場がある。
江戸時代に鎧ヶ淵の上流に築かれた長さ180m,高さ4mの堤防である。水が洩れないように粘土が使用されている。伝承から別名「一夜堤」とも呼ばれている。
伝承では、1686(貞享3)年に吉良義央が水田地帯の住民を救うために私財を投じ、領民の力を結集し一夜にして築堤されたというものがある。この堤で吉良8千石が水害から守られ、金色の稲穂が田を彩るようになったことから黄金堤と呼ばれるようになったとされる。
しかし、義央が現在の黄金堤を築堤したとする同時代史料は現在まで確認されていないのが事実である。むしろ、当時の吉良家は義央の浪費により財政的に困窮状態であり、自領内の開発費用を捻出するのも困難な状況であったことがわかっている。さらに、立地からみて堤防の恩恵を受けた地域はごく一部に限定され、「黄金堤」の名称の初現も明治時代という。「一夜堤」も吉良家が動員した領民に一日分の対価しか払われなかったために、そう呼ばれたという説もある。吉良義央の善政論、すくなくとも黄金堤の美談については、大正時代以降の地元民による顕彰運動に伴って広がったとされる。
また、この地は鎧ヶ淵古戦場としても知られている。