天乃石立神社
あまのいわたてじんじゃ(Amanoiwatate Shrine)
【S-NR006】探訪日:1989/12/9・2014/9/8
奈良県奈良市柳生町柳生字岩戸谷789
【MAP】
〔駐車場所〕
戸岩山の北麓の山中に本殿を持たず巨岩そのものを神体として崇める太古からの祭祀の形態を遺す古社である。平安時代の『延喜式神名帳』には小社として記載され、社伝によれば神代の昔、天岩戸の故事に基づいて創祀されたという。手力男命が天岩戸を開いたときにその扉石が当地に飛来したもので、「神の宮居の戸」の謂いから「神戸岩」とも称した。祭神は「前伏磐 天磐戸別戸命」「前立磐 櫛磐間戸命」「後立磐 豊磐間戸命」「大石磐 天照坐皇大御神」総称して天乃石立神社という。
また、当地一帯は関白藤原頼通の時代に春日大社に神領として寄進されたが、その折には神戸岩が鳴動したといい、近世初頭に至るまで皇室に慶事あるたびに鳴動を繰り返したという。
柳生宗厳(柳生石舟斎)が当神社で剣術の修行をしたとされ、江戸時代には柳生藩の歴代藩主から崇敬された。柳生宗弘(俊方)寄進の1705(宝永2)年銘の石灯籠や柳生俊平による1742(寛保2)年銘のそれが残されている。また、柳生家の菩提寺である芳徳寺には1625(寛永2)年の奥書のある当神社の縁起書『神戸岩縁起』が伝わっている。