束明神古墳
つかみょうじんこふん(Tsukamyojin-Kofun Tumulus)
【K-NR084】探訪日:2018/10.29・2022/7.24
奈良県高市郡高取町佐田768
【MAP】
近くの「ふるさと会館」の駐車場を利用できる。
佐田集落の春日神社境内に残る7世紀後半築造の八角形墳である。現状の墳丘は直径10m程度であるが、発掘調査の結果、実際は対角長約30m,高さ2m以上で天武天皇陵の45mに次ぐ規模であったことがわかっている。現在は埋め戻されている。
埋葬施設は南側に開口をもつ横口式石槨で、内部は長さ約3.1m,幅約2.1m,復元高約2.5m、終末期古墳の特色とされる石材を内側に傾斜させた家型に構築されている。床面には二重、壁面には5段に石材が積み重ねられており、床には漆喰が塗られている。出土遺物はほとんどないが、木棺片,棺飾金具,鉄釘,土師器,須恵器などとともに若干の被葬者の歯牙が残り、歯牙から推定される死亡年齢や古墳の様式から草壁皇子の陵墓の可能性が高いとされる。現在、宮内庁より眞弓丘陵(岡宮天皇陵)が草壁皇子の陵墓と比定されているが、考古学や古代史上では束明神古墳が有力視されている。
なお、幕末に同古墳が草壁皇子陵墓に比定されるという話が伝わり、陵墓指定のために土地を奪われることを恐れた地元の人々が意図的に破壊したとする伝承がある。