天白遺跡
てんぱくいせき (Tenpaku Ruins)
【Z-ME004】探訪日:2020/10/25
三重県松阪市嬉野釜生田町1549
【MAP】
〔駐車場所〕
天白遺跡は中村川が釜生田集落で大きく蛇行する箇所の左岸、標高28mの河岸段丘上に位置する。西日本では珍しい縄文時代後期中葉~晩期初頭の大規模配石遺構である。東西約90m,南北約100mにおよび、表土下1mの地点に遺構があることがわかった。配石遺構30基,埋設土器26基,焼土30基が確認されているが、住居等は現在まで確認されていない。配石遺構の形態は、A:周囲に石を巡らすもの、B:二重に石を巡らすもの、C:内側にも石を巡らすもの、D:無造作に石を集めたものなどがあり、配石遺構が大きく環状を呈することがわかった。遺物としては多量の土器,土偶,勾玉などの土製品,石器,石製品,骨片,辰砂原石が出土しており、これらのことから天白遺跡では、日常的な生活の場から独立した大規模な葬送儀礼や遺物の廃棄儀礼など様々な祭祀行為が行われていたと推定される。
なお、当遺跡から中村川上流へ約2km地点にある下沖遺跡は同時代の住居跡が見られることから、天白遺跡は下沖遺跡のような周辺集落の共同の祭り場であった可能性もある。