<神皇系氏族>地祇系

A304:天八現津彦命  天八現津彦命 ― 依網男垂見 YO01:依網男垂見

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依網男垂見

 依羅氏は、摂津国住吉郡大羅郷・河内国丹比郡依羅郷付近を本拠とした古代氏族である。一帯では、依羅氏の奉斎とされる式内名神大社の大依羅神社が現在も鎮座する。依網男垂見は、この依羅氏の祖先伝承上の人物と見る説がある。
 依羅氏は初め「依羅我孫(依網吾彦)」姓を称したが、天平勝宝2年(750年)に「依羅宿禰」姓が賜姓された。
 この依羅氏に関して、『古事記』では開化天皇皇子の建豊波豆羅和気王を「依網之阿毘古」の祖と記している。一方『新撰姓氏録』摂津国皇別では開化天皇皇子の彦坐命を依羅宿禰の祖とし、日下部宿禰と同族とする。また『新撰姓氏録』では、饒速日命を氏祖とする神別の依羅連・物部依羅連や百済国人の素禰志夜麻美乃君を氏祖とする諸蕃の依羅連らの記載もある。
 これとは別に「辰」系図では事代主神・天八現津彦命の後裔とされ、都佐国造,長国造,意岐国造と同族とされる。『新撰姓氏録』摂津国神別の地祇にも我孫が天八現津彦命の後裔とある。
 『日本書紀』神功皇后摂政前紀仲哀天皇9年9月10日条によると、神功皇后が新羅に遠征する際に「和魂は王身に付き随って守り、荒魂は先鋒として軍船を導く」と神から教えを受けた。これを受けて依網吾彦男垂見は、皇后によって神を祀る神主に選ばれたという。
 神功皇后から命を受けた依網男垂見がどのような神まつりをしたのかは明らかでないが、福岡県福岡市の住吉神社に伝わる縁起では、この時に男垂見は同社を創祀したとしている。