KDR2:百済王朝2 | 百済王朝2 ― 船 王辰爾 | FN01:船 王辰爾 | ● |
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船 王辰爾 | 船 王後 |
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王辰爾は、『日本書紀』欽明天皇14年(553年)記事に船連の始祖であると書かれているのが初出であるが、その出自は示されていない。はるか下った延暦9年(790年)7月条の『続日本紀』の百済王仁貞らの上表文には百済の貴須王の孫で応神朝に渡来した辰孫王の子孫とされているが、これらは、応神朝に渡来したとされる王仁の出自をまねて構成したつくり話しとみるのが通説である。さらに、王仁の出自も作り話であり、『論語』『千字文』を携えてきて「ふみの首」の祖になったとされているが、『千字文』は6世紀に成立したので、応神朝にあたる5世紀には存在せず、王辰爾と王仁の出自に関する種々の記事は、7世紀から8世紀の為政者にあった、漢字・漢学は中国が起源であり、それが百済を通過して日本に伝えられたという認識を仮託したものである。また、王辰爾の名は、おそらく王仁の名を意識している。実際は王辰爾の代に新しく渡来した中国南朝系の百済人の始祖伝承であることを指摘している。 |
出自について『船氏王後墓誌』では、王智仁(王辰爾)の孫で、那沛故の子とする。船氏は河内国丹比郡野中郷(大阪府藤井寺市,羽曳野市)を本拠地としたとされる渡来系氏族で、欽明天皇14年(553年?)に王辰爾が船の税を数え記録したことで氏名を賜ったという。
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船 恵釈 | 船 道昭 |
皇極天皇4年(645年)に発生した乙巳の変において、蘇我蝦夷の自害に居合わせ、その現場である焼け落ちる邸宅にあった『天皇記』『国記』のうち『国記』を火中から取り出して持ち出したという。のちに、焼失を免れた『国記』は中大兄皇子に献上したとされるが、現存していない。『天皇記』『国記』編纂のため日頃より蝦夷邸に出入りしていた恵尺は、クーデター派の命令で密偵的な働きをしていたのではないか、という説も存在する。このエピソードから船恵尺が当時、蘇我氏の下で『国記』など歴史書の編纂に当たっていたと考えられる。天智朝以降に冠位は小錦下に至った。
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河内国丹比郡船連出身の法相宗の僧である。白雉4年(653年)、遣唐使の一員として定恵らとともに入唐し、玄奘三蔵に師事して法相教学を学ぶ。玄奘はこの異国の学僧を大切にし、同室で暮らしながら指導をしたという。摂論教学を学んだという記録もあるが、摂大乗論に関する注釈は現存していない。年時不明、玄奘の紹介で隆化寺の恵満に参禅した。 |
御船湊守 | 菅野佐世 |
嵯峨朝前半に少外記を務め、弘仁7年(816年)従六位下から四階昇進して外位の従五位下に叙せられると共に、大外記に昇格する。弘仁10年(819年)には石見守として地方官に転じた。 |
文徳朝の斉衡2年(855年)外従五位下に叙せられる。翌斉衡3年(856年)助教に任ぜられたのち、明経道の学者として清和朝において大学助,大学博士などを歴任する一方、備後権介,越前権介など地方官も務めた。またこの間の貞観5年(863年)には、同族の皇太后宮大進・御船彦主や内蔵少属・御船氏柄ら男女6人と共に菅野朝臣に改姓し、貞観10年(868年)従五位上に叙せられている。佐世は儒学者として、天安2年(858年)釈奠において座主を務め、貞観6年(864年)釈奠において尚書の題を発した。また、貞観13年(871年)太皇太后・藤原順子の葬儀に際して、天皇が祖母である太皇太后の喪に服すべき期間について疑義が生じて決定できなかったために、儒者たちに議論させたが、佐世は大学博士として、助教・善淵永貞と共に、中国の故事に基づき、葬儀が終わればただちに服喪を終わらせるべきである旨を言上。 |
菅野彦主 | 菅野惟肖 |
仁寿4年(854年)正六位上から外従五位下に叙される。皇太后・藤原順子に仕え、中宮少進を経て、天安2年(858年)中宮大進に任ぜられる。貞観元年(859年)に藤原順子が東宮から西三条邸(右大臣・藤原良相の邸宅)に遷った際に皇太后宮職の官人に対する叙位が行われ、彦主は内位の従五位下に叙されている。 |
定かではないが、貞観5年(863年)に御船宿禰から菅野朝臣に改姓した彦主,佐世らの近親と推察される。 |
船 秦勝 | 船 副使麻呂 |
文武天皇4年(700年)巡察使の奏上に基づいて、諸国の国司らが治績に応じて位階を進められ、あるいは封戸を与えられたが、この時に因幡守であった秦勝は封戸30戸を、遠江守であった漆部道麻呂は封戸20戸を与えられている。 |
河内国丹比郡出身。貞観5年(863年)および貞観8年(866年)の釈奠において講師を務め、それぞれ『礼記』と『春秋左氏伝』を講じている。貞観9年(867年)外従五位下に叙され、本拠地を右京に移す。清和朝において直講,助教を務めながら、儒学者としての実績を残している。 |